1. 主な研究内容
精神薬理・Geneticsチームでは、①ドパミン (DA) 、 ノルアドレナリン(NA)、 セロトニン(5-HT)などモノアミンと呼ばれる神経伝達物質の血漿代謝産物濃度を用いた臨床精神薬理学的研究、また②向精神薬の薬理遺伝学的研究を行っています。薬物療法はエビデンスに基いて行われますが、その治療効果判定や治療反応性の予測因子となりうるバイオマーカーは乏しいのが現状です。われわれは,精神科薬物療法のメカニズム解明や、個々の患者さんの特性に合わせた治療を行えるようにするオーダーメード治療への貢献を目的に研究を行っています。
1) 統合失調症における抗精神病薬の反応性とモノアミン代謝産物との関連についての研究
:すべての抗精神病薬はドパミンD2受容体(DRD2)の阻害作用を有することが知られています。われわれはHPLC法を用いて、患者さんの血液からDA, NA, 5-HTの代謝産物であるHVA, MHPG, 5-HIAAの血漿中濃度を測定し、統合失調症患者における抗精神病薬の反応性との関連について検討してきました。
2) 統合失調症における抗精神病薬の反応性とDRD2遺伝子多型との関連についての研究
:DRD2遺伝子多型は抗精神病薬の反応性に関連することが報告されており、われわれは血液サンプルからDNAを抽出し、これらの多型と抗精神病薬の治療反応性、さらに1)で紹介した血漿モノアミン代謝産物濃度との関連について調べています。これまでに DRD2 Taq1A多型が抗精神病薬の反応群/非反応群でのHVA変化の違いと関係することを明らかにしこの遺伝子多型がDAの代謝に影響する可能性を報告しました。
2. 学生、研修医の皆様へ、チームからのメッセージやアピールしたい点
精神薬理・Geneticsチームでは臨床に直結した研究を行えます。研究結果を臨床へ還元したり、臨床を深めたりできるのが魅力です。また2013 – 2014にはチームリーダーの三浦が米国NYのZucker Hillside Hospitalへ留学し、臨床薬理のエビデンス構築につながる研究も行っています。興味のある方は是非、気軽に声をかけて下さい!