震災以来、福島県の小児のメンタルヘルスの需要はますます高まっています。また、発達障害患者の受診ニーズも増加の一途をたどっています。例えばADHDは小児期に約10%の有病率であり、成人しても約5%は症状が持続すると言われている非常にありふれた障害です。我々のチームは福島医大のこどもの心診療センターと心身医療科内の児童/発達外来のみならず、県内の発達障害者支援センターや地域療育センター、各地の子どものこころ診療センターとも連携を取りながら、診療と研究に当たっています。
臨床研究としては知能検査の縦断的検討、生物学的指標(モノアミン、事象関連電位、脳血流)を用いた発達障害の検討、発達障害症状評価尺度の信頼性・妥当性の検討、摂食障害特に初潮前発症例の臨床的検討、成人発達障害の疫学的研究、小児自閉症スペクトラム障害患者に対するリスペリドン少量投与疫学研究などを行っています。
また、震災関連研究としては、環境省 エコチル調査の追加調査として、出生後からのコホート作成を行い、現在追跡調査中です。これは今後12年間追跡調査の予定です。そして県民健康調査に協力してこころの健康度生活習慣についての支援も実施しています。これらの疫学研究も充実しています。
我々は福島県で唯一の医科大学として、県内各地の小児精神科専門医療機関(こどもの心診療センター、県立矢吹病院、発達障害者支援センター、療育センター)と連携をとっています。しかし、慢性的な人手不足であり、診療ニーズの高い状態が続いています。経験のある指導医のもとでたくさんの症例を経験出来るチャンスです。その上、上記の研究活動に従事することが可能です。是非とも福島医大で児童青年期精神医学の研修を考えたい方はご一報いただければ幸いです。